日々ブリッジ

エッセイもどきブログ

「ディズニープリンセスとアナと雪の女王展」から見える日本人のディズニープリンセス観

夜行バスで就活で東京に行く。
と、面接が始まるまでに微妙な間ができることがよくある。4時間くらいの。
遠出はできないし、ひとりだし、どこへ行こうか。そんな時、私はよく展覧会に行く。


というわけで今回は、

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これに行ってきました。


以下感想。

この展覧会、非常に興味深い展覧会だった。
展示内容がではない。展示のされ方である。

この展覧会は、ディズニープリンセスの展覧会ではない。「日本人のディズニープリンセス観」の展覧会である。

もう1度タイトルを見て欲しい。
Power of princess.
プリンセスそのものではなく、プリンセスの力、をテーマにしているのだ。
では、プリンセスの力とはなんなのか。
それは、わたしたち日本人のディズニープリンセス観を曖昧に表現した言葉なのではないかと思う。

我々はなにかを楽しむ時、そのものと一緒に「イメージ」を消費していると言われる。

例えば、店舗内で飲むスタバの新作フラペチーノと、下宿先に帰ってきて、1人で飲むスタバの新作フラペチーノ、どっちが美味しそうに感じるだろうか。おそらく前者だろう。
これは、スタバという場所が単なる飲食店ではなく、「おしゃれで洗練された場所」という意味を持っているからだ。スタバでフラペチーノ飲むということは、飲食の意味よりも、おしゃれな場所で過ごすということに重きが置かれる。そして、この、スタバの「おしゃれな洗練された場所」という意味がイメージに当たるのだ。

イメージを消費する社会になって久しい。
そんなわけで、このディズニープリンセス展は、我々の「ディズニープリンセスへのイメージ」を展示しまくる、ここまでいくと潔い
な!て感じの展覧会だった。

(もし、ディズニープリンセス作品のアートワークをたくさん見たいと思うなら、ここへ行くよりも本を買った方が絶対いい。Amazonでthe art of tangledとかいれたら出てくるから。行っても楽しいけどね)


この展覧会を構成するものを3つあげるとしたら、
①ポエム
②グッズ
③西洋のおひめさまへの憧れ
だと思う。

まず、①ポエムに関して。

各プリンセスのセリフがところどころに書いてある。アナ雪コーナーは、セリフ以外にも心の扉が~みたいなよくわからないセリフも書いてあった。
ディズニープリンセスの幸せになるルールだったか。そんなようなタイトルの本も出ていたように思う。
甘くてどこかアンニュイなセリフやポエムは、ディズニープリンセスを語る時の枕詞なのかもしれない。


次に②グッズに関して。

販売グッズがとにかく多かった。
展覧会スペースの半分位はあるんじゃないか、レベルにお土産グッズコーナーが広い。先行販売の可愛さの暴力みたいな日傘(六千円した)や、普段あまり見ないフローズンフィーバー(アナ雪の短編)のグッズもあった。コンセプトアートのグッズもオリジナルで作っていて、これはなかなかいいなと思った。
ドラッグストア、服屋、雑貨屋、……ディズニープリンセスグッズを見つけないことはないといっても過言ではないほど、プリンセスグッズは氾濫している。いやまあ可愛いけど。
どうやらディズニープリンセスと商業は、切っても切り離せない関係にあるようだ。


そして最後、③西洋のおひめさまへの憧れ。

散々言われていることだが、ムーラン、ポカホンタス、ティアナ、メリダディズニープリンセスに属する。しかし、彼女らを日本でグッズなりで見たことはあるだろうか?
おそらくほぼ無いだろう。
この展覧会も、白雪姫、シンデレラ、オーロラ姫、アリエル、ベル、ジャスミンとつづき、突然ラプンツェルに飛ぶ。まあそういうことだ。我々はどうしても「おひめさま」をイメージする時、綺麗なドレスと明るい髪の色、そして白い肌の女の子を想像しがちだ。(ジャスミンはアラビア系のプリンセスだが、彼女のデザインは白人の要素を多く取り入れている)しかし、「彼女たちが幸せになれた秘密は……?」みたいなことをコピーにするのなら、ティアナくらい見たかったというのが正直なところだ。プリンセスと魔法のキスのミュージカルシーンはすごく綺麗だから、余計残念だ。

なんだか文句ばっか書いてるように思うかもしれないけど、まあ普通に楽しかった。
百貨店のイベントホールでやっているものなので、美術館で開催中のピクサー展とくらべるのは野暮だろう。(ピクサー展は本当にオススメだ。ピクサー好きならマジで行くべき)

また、実写マレフィセント&オーロラ&シンデレラの撮影に使われたドレスや小道具があった。かなり近づけるので、これはレアなものが見れたと思う。(ほんとに!)Let it goに合わせて部屋をマッピングするミニショーも、エルサの城に足を踏み入れた気分になれて、なかなか楽しかった。

その他で興味深かったのは、シンデレラのキャラ紹介で勇気という言葉がキーワードに使われていたこと。実写版で勇気がキーワードとして使われていたので、それを引用したのであろう。まあ、実写版にも勇気要素はなかった気もするけれど。(実写シンデレラ<<<同時上映のアナ雪短編だとわたしは思っている)

また、ディズニープリンセスを形容するキーワードをつないでいくと、
白雪姫は待つ 
シンデレラは耐える 
アリエルは外の世界へ出ていく
ベルは自分の頭で考える……と自立的な要素、現代的な要素を含んでっているんだなと思った。

以上、感想でした。

~東京から京都へ向かう新幹線内にて~