日々ブリッジ

エッセイもどきブログ

今更!「おそ松さん」の人気を考える

もしも。
一年前の自分に「今はどんなコンテンツが流行ってるの?」と尋ねられたとする。
「おそまつくんのリメイク版アニメがめっちゃ人気だよ」と答えたら、一年前の自分は信じるだろうか?
たぶん信じないだろうな。

そんなこんなで、今更ながら「おそ松さん」の人気の理由を考える今回です。

おそ松さんとは、六つ子のおそ松くんが大人(しかもニート)になった!という設定のナンセンスドタバタコメディのアニメ作品。
放送は終わってしまったけれど、近年では珍しいほどの人気作品となった。コラボグッズは即完売。イベントをすれば長蛇の列、といったように、アニメ好きの女子を中心に大ブームを巻き起こした。
アニメを見たことはなくても、「Twitterで友達がRTしてた」「友達が見てるって言ってた」程度に聞いたことのある人はたくさんいるのではないか。おそ松さんのトレードマーク、松のマークの付いたパーカーを着た女子も時々見かける。


では、このおそ松さん。どうしてこんなに人気になったのだろうか。
思うに、
①フックの多さ
②ジャニーズシステムの引用
③深読みを誘う演出

の3点が要因としてあるのではないかと思う。

では、まず①フックの多さについて。

フックとは、その名の通り「引っ掛けるポイント」のことだ。超有名コピーライター仲畑氏の言葉で、見る人に「お?」と思って貰う仕掛けを意味する。
おそ松さんは、このフックからフックへの誘導がとても上手いと私は感じた。

まず、第1のフックとして、おそ松さんのオープニングテーマがある。このテーマを手掛けたのは、コナミ音ゲー(DJのやつ、ギターのヤツ、ボタン叩くヤツとか)界で超有名な2人組、しかも変な曲(お米お米と叫ぶメタルとか作ってた)を作ったことで有名なコンビだ。

実は、音ゲーに入ってる曲というのは、音ゲーでプレイするためだけに作られた曲がほとんどだ。だから、どんなに音ゲーマーがこの曲いいな!と思っても、非音ゲーマーの耳にその曲が届くことは少ない。
だから、主語がでかくなってしまうが、音ゲーマーはよくこう思っている。「こんな素敵な曲がたくさんあるのに、一般で日の目を見ることがないなんて寂しい!もっと一般音楽シーンにも聴かれるようになってほしい!」と。(少なくとも私は現役音ゲーマー時代そう思っていた)
だから、音ゲーアーティストから「アニメの主題歌作るよ!」とのアナウンスが聴けるのは嬉しいのだ。「我々の大好きな彼等の歌を、どうか聞いてくれみんな!」と思う。

地元のゆるキャラがテレビに出てたら、皆なんとなく嬉しいと思う。「あれうちの地元のキャラ~」なんて言ったりするのではないか。それと同じだ。

そういうわけで、「音ゲーアーティストがアニメの主題歌つくるらしいぞ!しかも担当するのは、変な曲作ることで有名なあの2人だってー!?」なんてことになれば、大体の音ゲーマーは見る。「オープニングテーマだけでも聞くか」となる。

「20年前の昭和のアニメ、おそ松くんのリメイクアニメ」
どう見たって、この字面からは面白そう感が伝わらない。1話目を見ようと思えない。
そこで、「1話目を見てもらうフック」として、音ゲーアーティストの起用したのではないだろうかを。

そして、この読みはある程度当たっているのでは?と思う。何故なら、二期目のおそ松さんのオープニングテーマは、音ゲーアーティストが担当していないのだ。二期目をやるころには、充分人気が出ていたからだ。ここでフックを作って引っかける必要がない。「おそ松さん」というだけで、みんなが見てくれるからだ。

そして、次に第2のフック。ポップで可愛いオープニングの演出だ。
曲そのものが物凄くキャッチーなのもあるが、演出がすごく可愛いのだ。
説明するより見た方が早いと思うので、見て欲しい。


どうだろうか。
どことなく海外アニメっぽく、カラフルで可愛くて、耳に残るこの感じ。普段アニメをそこまで見ない人でも「あ、かわいいかも」くらいは思うのではないだろうか。
なんとなく見て見た人、「オープニングテーマだけ聞こ」と思って見た音ゲーマーをここでキャッチする。「なんだか、良さそうだぞ?」と思ってもらうのだ。

そして、最後に第3のフック。パロディだらけの第1話だ。
おそ松さんの第1話は「昭和アニメの僕らが、今の時代で人気になるにはどうすればいいのか?」を六つ子たちがそれぞれ考えるという内容になっている。そこで、六つ子達はありとあらゆるアニメ作品の露骨なパロディをする。進撃の巨人ラブライブ、ハイキュー、暗殺教室……どれか一つはピンとくる作品があるのではないか。
ここで、二つのフックに引っかかって本編を見た人はさらにびっくりする。「なんだこれは!すごいアニメだな!」と。アニメ好きというのは、パロディが好きなものだ。そして、Twitterで呟いたりする。まとめサイトでまとめたりする。「おそ松さん、パロディだらけで凄かった!」などと。
すると、その呟きやまとめに引っかかった人達が「なんだかおそ松さんて、すごいらしいぞ」と見てみる。またフックに引っかかる。で、拡散する。この繰り返しが起こるのだ。


長くなったので、次で②と③を述べる。