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エッセイもどきブログ

今夏見た映画(ファインディング・ドリー/ソングオブザシー/ゴーストバスターズ/君の名は。)まとめ感想

銀魂の作者の空知先生はグッとくる文章をよく書かれるけど、その中で何故か心に残っている話がある。

空知先生は映画を見て、物語が終わってしまうのがいつも寂しくて、終わったあとに自分だけ取り残されてしまう感覚を感じていた。その感覚が嫌で、「だったらいっそ、こっちが取り残す側になってやる!物語を作る側になってやる!」と思ったそうだ。

 

この映画を見たあとの「取り残され感」とか、「置いていかないで!感」、すごくわかるなあ。私にとってのナイトミュージアムがまさにそれ。

というわけで、今夏見た映画の感想です。

 

見たのは、

ファインディング・ドリー

ソング・オブ・ザ・シー

ゴーストバスターズ(字幕&吹き替え)

君の名は

です。

せっかくなので感想。全然ためにならないしレビューって程でもないけど書きたいから書く。

 

ちなみに好きだ!気に入った順で並べたら、 

ゴーストバスターズ>>ソングオブザシー>君の名は≒ファインディング・ドリー

かなあと思います。

 ネタバレめっちゃするよ。

 

 

 

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ファインディング・ドリー

 

正直な感想は「感想があんまりない………」でした。て、思ってしまうのも私が障害者福祉にあまり興味がないからなのかも……とレビュー見て再確認。どこかで見たんだけど、この映画はファインディング・ニモのニモパート(=challengedな特性を持つキャラクターがそれを克服する物語)を丁寧に読み直した作品であり、ドリー=障害のある人 マーリン=健常者の本音 ニモ=その2者の理想的な仲介者、てのを見てなるほど~と思った。

あとキャラに関して。ハンク&ドリーのコンビも好きだけど、(ファインディング・ニモが好きなので)やっぱりマーリン&ドリーのコンビが私は好き。ニモの言う「マーリンのやり方」を、ドリーが無意識にやっていたとことかグッときました。

  

②ソングオブザシー

 

背景と音楽美しすぎて即泣いた。

アザラシの妖精、セルキーの伝説をモチーフにしたアイルランド民話のアニメです。すげーなマイナーで海外アニメファンの間で話題になってるやつ。

 

あらすじざっくり。

ベンとシアーシャの兄妹が主役。

妹を産むと同時に姿を消してしまった2人のお母さん。「妹がお母さんを奪ったんだ!」なんて思いから、ベンはシアーシャに冷たくあたってしまっている。そんなある日、シアーシャが偶然見つけたコートを来て海に潜ると、彼女はアザラシの姿に。シアーシャはアザラシ妖精セルキーだったのだ。

的な。

 

美術に関して。海のうた、だけあって海のシーンが多い。特にシアーシャとクジラが泳ぐシーンは凄まじくて、海の冷たさ、息苦しさ、美しさが鮮烈で、思わず「ここから出して」て思ったくらい。(真っ暗な映画館で見たからなおさら。)丸や曲線の平面的でクリムトの絵画のような表現がお伽噺と相まってとてもよかった。(インタビューでクリムトオマージュしてます、て言ってた。当たった!)資料集欲しすぎ。

音楽に関しても、ケルト音楽が見事に絵とマッチしていて郷愁を誘う感じがいい。劇中のセルキーの子守唄やエンドロールのlullabyも謎の涙を誘う。moon the made of goldって表現が好き。

 

ジブリ作品も多分そうなんだけど、理性や文明の偏重で自然への敬意がなくなっていってることへの優しい警笛を感じた。監督は妖精伝説のあるはずのアザラシ(の死体)がぞんざいに扱われているのを見て悲しく思い、この映画を作るきっかけの一つにしたそうだ。我々はもともと自然だったのだし、それと共に生きてるのだから、そのことを忘れてはダメなんだなあ。お母さん(実はセルキー)の「忘れないで、私は物語の中にいるわ」が象徴的だなあと。セルキー=物語=自然であり、「私のことを覚えていて欲しい」のは、息子であるベンであり、これを見ている私達なんだなあと。

優しい気持ちになれます。この映画おすすめ。1人で夜か朝に見て欲しい。

 

 

ゴーストバスターズ

 

ホルツマンと結婚したい……………………………………

 

 この映画語ろうとすると、「ホルツマンのここがグッとくる!」になってしまう……。

吹き替えと字幕の両方見たんだけど、字幕→吹き替えで見るのがおすすめ。吹き替えはボーナストラックって感じで。芸人が主人公の吹き替えしてるけど、けっこう上手いので吹き替えもよい。ただ、吹き替えと字幕でホルツマンのキャラがわりと違うので、吹き替え(やる時はやる悪ガキ少年)→字幕(クールでクレイジーなお姉さん)見ると物足りなく感じるかも。ちなみに、悪役は吹き替えの方が中二病こじらせたキモ男感がいい感じに出ててよかった。

 

ギャグは爆発力強い感じより、じわる系。じわり系ギャグとクール(冷静な、の意でなくカッケー!の意)な女性が闘う映画が好きならぜひ見て欲しい。

(あとLet's goをかますぜって訳した人に国民栄誉賞。)

 

あと、この映画の「オトコには弱いけど、オバケには強い」ってコピー考えたヤツ誰だよ!!オトコに弱い描写どこだよ!そもそも女性が主人公ってだけで「男」の存在を持ってくるの何なんだよ!

 

 

 ④君の名は

爽やかハッピーエンドでよかった~

 

この監督の映画初めて見たんだけど、やっぱり背景の書き込みがすごい。The beautiful Japanemation て感じ。

特に東京のビル群の描写が綺麗だったのが感動した。自然みたいな元々綺麗なものを綺麗に描くのは比較的簡単だと思うけど、ああいう人工物を綺麗に描写するのは、なかなかできないと思う。

この監督の背景美術をみんなが「きれい!」て絶賛するのは、ノスタルジーがエッセンスとして散りばめられてるからだと思う。

いつか小さい頃に見たような、高校の時の帰り道に見たような、「今ではないどこか、記憶の中のあの時」にありそうな風景が過剰な光でキラキラと飾られている感じ。時々壁紙で見る「夕暮れ時の田舎に女の子の後ろ姿」「ウユニ塩湖的な世界で女の子がひとり」的なイメージに似てるような……。

同じ「背景の美しい」映画なら、わたしはソング・オブ・ザシーの方が好みかな。

 

ラストシーンのカタルシスがない!!て思ったけど、この監督の作品にそれを求めるのはどうやら違うみたい。(どこかのレビュー見て)ハッピーエンドも珍しい感じ?なら仕方ないか。

 

でもやっぱりちょくちょく納得いかないというか、無理を感じる所はあったかなあ(例えば、三葉と父の関係が変わっていく描写がない(対峙した所あったけど、あれで説明になってるとは思えないし)のに、最後に説得できました!と後で見せられても??て感じ) 

 

わたしエヴァとか細田守監督作品とか、「ザ ・世界に誇る、日本のアニメ」みたいなのが何故か苦手で。ちょっと食わず嫌いしてたけど、見たらけっこう楽しめたからよかったなあ。何事も好きなものが多い方か楽しいよね。

 

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八月の鯨(映画のカクテル作ってくれるバー)に次行ったら、ズートピアゴーストバスターズ(あればホルツマン)を頼もうと思います。

次はファンタスティックビースト見に行こ。